一昨日まで河口湖で開催されていたJAPANスーパーバスクラシック。
私はTOP50シリーズの年間5位で権利を獲得しました。
スケジュール的に前日プラを行うのがやっとで(この前日プラもロケをリスケして捻出しました)、直前直後はソルトのお仕事だらけだったので、身体も思考もあまり上手く動かなかった試合になってしまったのが正直なトコロです。
結果は初日ディープクランク(Bスイッチャー4.0)で1匹、2日目はディープのライトリグで1匹。
両日ともウェインはしましたが、クラシックは総重量制なので最終成績は28位となりました。
いつもなら結果がどうであれ、トーナメント中の思考や動きを書き記すようにしているのですが、今回は本当に『広く浅く色々試しただけ』の試合だったし、シーズン最後の試合ということでちょっと違う内容を書いてみたいと思います。
毎年のことではありますが、TOP50シリーズの第4戦辺りから(全5戦中)、この最後の公式戦であるクラシックに掛けての9〜11月くらいって『来年どうするか』という話は絶えず出てきます。
それは日本最高峰と言われるTOP50シリーズでも例外ではなく、むしろ掛かる経費が大きいTOPシリーズだからこそ様々な事情でこの話は行われます。
TOP50シリーズの正規残留権は30位までの為、それを下回る順位になりそうな場合は当然『来年どうするか』は思案しなければなりません。
一方でそれ以上に多くの人に関わってくる金銭的な問題や、時間的な問題もあります。
エントリーフィーだけでなく、ガソリンやボート用品、滞在費などはここ10年くらい上がり続けていて、全国をトレイルするTOP50シリーズクラスだとただ出ているだけでもかなりの金額が掛かります。
と、同時に年間5試合(TOP50シリーズの場合)をしっかり練習して挑むとなると移動や準備含めてだいたい年間100日くらい(20日/試合)を使うことになります。
なので資金調達や準備は一年丸々使えるわけではなく、無休で活動したとしても365日ー100日=265日前後で行う必要が出てきます。
『全国トレイル(TOP50シリーズ)はお金が掛かる』と金銭面の話ばかりをされることが多いですが、この『一年が265日しかない』ということは人によっては金銭的な問題以上に頭を悩ませます。
私みたいな独り身の人間ですら『一年が265日しかない』というのはかなり苦しいのですが、これがもしご家庭持ちの方であるならば『夫として、父として、一年でやるべきことを265日でこなさなければならない』ということになります。
今年『TOP50シリーズからの引退』を表明した武田プロはプロとして十分に喰えていたはずです。
武田プロは別動画内で『TOP50プロで喰えてる人は沢山居ます!』っ言っていたけど、流石にそれは盛っていて(笑)沢山は居ないと思います。8割とかは喰えてないはず。
でも少なくとも彼は喰えてるプロです。
彼は自身の動画内でも話していたように『時間』が欲しくての引退なんだと思います。
『(プロとして)喰えてるor喰えてない』論争をすると『今はね』って言う方もいらっしゃるんですが、そんなこと言ったら会社員の方だって同様です。
10年後に会社がある保証なんてどこにも無いし、あったとしても同じ規模でかは分かりません。仕事が同じように未来永劫あるかなんてプロも会社員も分からないのは今の時代一緒です。
今は2024年。令和ですからね。
80年代高度経済成長期じゃない。
そういった意味で『今』を凄く真面目に考えている、考えざるを得ない立場なのがプロなんじゃないかなと思います。
なので釣りのプロってやりようによっては普通に喰えるし、『今はね』って言うなら『それは今の時代、会社員も変わらないよね』というのが私の考えです。
ただTOP50シリーズに出ている以上は『一年が265日しかない』というのはどこまでいっても変わらないというのを知って貰えたらなと思います。
武田くんをダシにした話を書いただけで終わるのは本意ではないので、私のことを最後に書いておきたいと思います。
私は特段裕福な家庭に生まれていません。
親ガチャ当たりとかボンボンではないです。
四大卒業の翌年、23歳でTOP50シリーズ登録初年度は一年間12ftアルミに15馬力で参戦でした。乗っていたのは10年落ちのサーフ。
初年度の年間成績は35位でした。
TOP50シリーズでの優勝は1回のみ。マスターズ(TOP50の一つ下)での優勝も1回のみ。
TOP50年間ランキングは今年の5位が最高位です。
ここ数年は5〜12位をウロウロしています。
クラシック制覇やAOYなどの俗に言われる『タイトル』は一つも持っていません。
大した成績は残していない普通のプロです。
ただ私は今現在、プロとして十分に喰えています。
むしろたぶんここ数年はTOP50選手の中で最も高い契約金を頂いていると思います。
もし一番で無かったとしても2番か3番だと思います。
『TOP50プロが大して貰ってないんじゃないの?』と思う人がいるかもしれませんが、業界内でも指折りのはずです。
今江さんや青木大介さん、巧くんや藤田京弥プロのようにコンペティターとして魅せる力は私にはほぼゼロです。
じゃあ生きる道や役目が無いかといったらそんなことはないというのが私自身が証明だと思っています。
また違った道で武田くんも証明してくれ続けるはずです。
釣りのプロの場合、事実と曲がって伝わってしまっている情報が非常に多いです。
もちろん経済的に継続が難しいってケースも多々あります。
一方で、普通の会社員の方でも年間100日とか150日とか出張の会社を皆んな『喰えるから』で継続し続けられるかと聞かれたら『No』の人はかなり居ると思うんです。
ちなみに私の場合は年間250日超の出張を受け入れている一般社会であれば『異常感覚社員』なだけです。
逆に言えば本当に『何が何でも全てを犠牲にしても』と思えるならば意外に目指せるんじゃないかなと思います。
もちろん『私と同じくらいの戦績、実力』しかないのに『全てを犠牲にしたくない』って言ったらいきなり喰えないです。
一般社会での『特殊技能無いけど力仕事したくない』と同じです。
そりゃそれじゃ喰えない。
ってだけな気がします。