最初は簡単にいくだろうと思ってた。こんな『ただの鉛の塊』って。
前々から具現化したい形というかイメージがあって、
昨年秋にひょんなことから話が進んでいった。
最初に手で削って作られたプロトは二投しただけで、
『クソルアーですね』と思わず言ってしまうほどだった。
クソは言い過ぎでも市販品と比べても中の下程度。
全くもって自信を持って使えるクオリティではなかったが、
適当に作っただけでここまでできたなら、
数回手を加えれば十分なものになるんじゃないかとも思った。
僕が早明浦でTOP50の最終戦を戦っていた最中に作られていた、
『進化したプロト』を浜松に帰ってきてから投げると、
三種類用意されていた全てが、見た目を除いて退化していた・・・
適当に作られた最初のプロトを越えるだけでかなりの時間を要し、
途中で投げ出したくもなったが、
ちょっとづつボディシェイプと動きの関連性が分かってきて、
だんだんと『クソルアー』じゃなくなってきた。
年末にはほとんど完成近くまで進行し、
最終プロトとして仮金型を作ってもらった。
年は明け2011年。
その最終プロトで本金型を作るところまで話は進んだのだが、
寸前のところで僕が『やっぱり一つ前の形が・・・』と言い出しモメにモメた。
結果的に僕のワガママを聞いてもらうかたちで話は進み、
元最終プロトさんはお蔵入りとなり、その一つ前のボディで話は進行。
気に入らなかったのは、手元に伝わるバイブレーションで、
元最終プロトさんは、使うと決めたブレードを付けるとイマイチだった。
正直、イマイチといっても十分使えるレベルだったのだが、
このボディでやるならもう一つのバイブレーションの強いブレードでやりたかった。
この時はすでに発注してあるブレードを捨てて、
違うブレードを使って、このボディてやるかというところまで話が戻ったが、
結果的にはボディを一つ戻して、ブレードはそのままという結論に辿り着いた。
それから約20日。
パートナーさんと毎日何回も電話でやり取りし、
二人で何回も泳がせては削るを繰り返し、
感覚的に言うと『カリカリッ』というバイブレーションを出せるようになった。
クソ長かった・・・。
もう一度やれと言われたら120%無理。
もう二度と『ただの鉛の塊』なんて言いません。
過大広告でも、ただ苦労したから感情が入ってるだけでもありません。
日本一のスピンテールを作ったと思います。
こいつを越えるスピンテールは今現在絶対存在しない。
ただ、本金型が最終プロトと全く同じに出来上がればだけど・・・(汗)