昨日まで愛媛県は野村ダムで開催されたTOP50シリーズの初戦ゲーリーインターナショナルCUPについていつも通り詳細を記していくのですが、まずはその前に今大会、開催に際しご尽力頂きました皆さま、また大会開催及びバスフィッシングに多大なるご理解を頂いている近隣住民の皆様に感謝を申し上げます。
ご存知でない方も多いかもしれませんが、前回TOP50シリーズがこの野村ダムで開催されたのは2018年。もう7年も前のことです。同じく4月の初戦でした。
『久々の開催なんだな』
くらいに思う方も少なくないかもしれませんが、同年7月に大雨による洪水が発生しダム下流の堤防が決壊。多くの被害が出た地域です。
未だに野村ダムをネットで検索すると当時の災害のニュースページが表示されるほどで、どれだけ被害が甚大であったかご想像頂けるかと思います。
私は2021年に訪れているのですが、その時ですらまだまだダム林道には土砂が堆積しており、相当な被害であったことが伺えました。
今回の大会期間中の様々な準備もそうですが、それ以前にそもそも野村ダム自体をここまで元の姿に戻し、かつ50人の選手の招致を行うことは並大抵のことではなかったと思います。
チャプター愛媛役員の皆さまの努力と、地元住民の皆さんのご協力とご理解、そしてそれを結び付けてくれているチャプター愛媛会長石川さんのお陰での今大会開催となりました。
前回の私はファットウィップ3インチのリアクションテキサスをメインに(奇しくも今大会優勝の梶原プロのメインパターン)、後半カバー撃ちでウェイトを伸ばしていく展開で尻上がりに順位を上げていきました。
春のリザーバーは得意なことに加えて、野村ダムとの相性は悪くなく(その更に前2010年は10位入賞でした)、今期一番楽しみだった試合です。
リザーバーというと、TOP50シリーズが開催されることの多い七色ダムや、同じく四国で最も有名な早明浦ダムのように『水色が綺麗で水深4〜5mまで丸見え』みたいなところを想像するかもしれませんが、野村ダムはササ濁りのステインウォーターで、濁り気味な房総半島の亀山ダムをホームにしている小森プロが『亀山に似ている』と言うくらいです。
会場のあるメインウォーターの肱川と、もう一本の川筋猪野川から形成される野村ダムはそれほど規模の大きなダム湖ではなく、次戦第二戦がエレキ限定で開催される小野湖の方が広いくらい。
つまり回ろうと思えばエレキだけで回れるくらいの規模感です。
つまりはプレッシャーも掛かりやすい。
今大会は春特有の日替わり&季節進行を意識しながら、更にこのフィッシングプレッシャーによる変化も読む必要があり一本調子(同じ釣りで三日間とか)ではいかないのが明白な中での開催でした。
私のプリプラは他ロケ&イベントスケジュールの影響でちょうど大会一ヶ月前に当たる2月末〜3月頭に掛けて6日半行いました。他選手より2週間くらい早いプリプラでした。
着いた頃はまだ水温6℃程度と『冬終わり』くらいの季節感でしたが、プリプラで釣り方なんかは煮詰める意味はほとんど無いので特段デメリットには感じず、7年前から増えた土砂崩れやストラクチャー、なんとなくの魚の季節感だけをチェックして終えました。
特に元々、シャローカバーの豊富だった野村ダムですが水害があったからか森ごと水没している箇所なんかも増えていて更にカバー撃ちを行う場所は増えているコンディションになっていたように思います。
1ヶ月ぶりに戻ってきた野村ダムは水温11℃前後と、春真っ盛りちょい手前くらいに感じました。
これはつまり試合期間中にどんどん季節進行する(可能性がある)訳で、事実陸上のソメイヨシノもみるみる満開へとなっていきました。
直前プラでは色々試したのですが、結果的に試合に向けて採用した手答えは二つでした。(他の手答えもあったけど試合に繋がったものだけ記載します)
まず一つ目はプリプラでは一切触らなかったキーパーパターン。
野村ダムは肱川と猪野川のインターセクション部に何ヶ所かフラット(ダム建設前の段々畑?)が広がっており、ここをダウンショットやジグヘッドといった丁寧な狙い方をすると小さいながら(ノンキー含む)魚からの反応は得やすい。
ただこんなことはTOP50選手は全員すぐ分かることで特筆するべきことでもなく、私は直前プラ初日の前半にチェックしてすぐに2匹キーパーが釣れたので『プリプラより小さい魚の反応も増えてずいぶん季節が進んだんだな』くらいのヒントでした。
ここで沢山釣って入れ替えを繰り返しても予選突破はあっても上位は絶対に無い。
もう一つの手答えは『相変わらずカバー撃ちは釣れる』ということ。
前回2018年の初戦もそうでしたが、カバーの数、相性が野村ダムの場合は良く、私の場合は最も上位への近道はおそらくこれだと戦前から見え見えでした。
『どうせ黒田はカバーだろ』くらいに思っていた選手も居たかもしれない。
事実、直前練習初日は何回かカバーで喰わせてもフッキングせず、2日目はカバーだけに絞って色々試す(一日でどれだけ反応あるかも見たかった)と昼までに3回バイトしたので最初の2回は我慢して離させて、最後の1回だけは周りに人が居なかったこともありフッキングすると上記の1500gフィッシュでした。お腹の出たプリスポーン。
他のバイトもだいたい喰い方と持って行く重さでサイズは分かるのですが『そんな小さくはないな』くらいの手答えで、『あとは集中して試合はやろう。優勝を狙いたい』くらいの感覚で練習は終えました。
試合直前のオンラインサロン記事では『優勝狙って勝負してきます。本気で勝つ気でいきます』くらいのことを書いていました。たぶん珍しいはず。
単純に直前プラでデカいの釣れたからって安易な話ではなく、今の季節感、潮回り(大潮まで遠い)を考えると私が狙いたいシャローカバーの魚は増えることはあっても(ただ増えたらちょっとサイズは落ちるはず)減ることはないだろうし、単にカバー撃ちといっても撃ち方からポジション、ルアーまで幅広く出来る自信があるので、他の選手と取り合いになってもある程度勝ち切れると踏んだから。
後は試合になれば絶対釣れる魚は減るけど、ちょっと釣れないくらいでは折れない心も準備出来ているはず。
1日3バイトあれば良い。8〜15時の7時間で3バイト。2時間半に1回のチャンスで良い。くらいのつもりで初日を迎えました。
初日は10番フライト。
肱川の会場近くのカバーから撃ち初めて釣り降るプラン。逆にフライトが遅ければ一気に下って、人が少ないエリアから釣り上るつもりでした。
8時前にスタートで、8時半前には1匹目をキャッチ。MSクロー3.6の8gテキサスでチョイ沖にあるカバーに入れて喰った魚。800gくらいでした。
狙っていた魚よりは小さいけど、毎日キロクラスを3匹と思っていただけにまずまずで、出来れば入れ替えたいなと思い釣り続行。
ただここから空白の時間が過ぎます。
確かにバッティングなんかもあるんですが、とはいえ1匹目以降何も反応が無い。
1匹目から約5時間ノーバイトで時刻は既に13時。
朝イチの800gだけ。
これこのままだと終わる・・・
冷静に考えると。
直前プラ2日目に50cmくらい減水したんです。
おそらく大会2日目(土曜日)が1日雨予報だったのでそれに向けて。
冒頭に書いた水害以降、水位調整をシビアにしているらしく(当然ですよね)、このタイミングの減水は僅かでもシャロー撃ちにはキツい。
加えてどんどん水色が綺麗になってる。
というのもプリプラもずっと雨(濁ってた)で、更には直前プラ数日前に四国は大雨だったらしくその濁りもあって『野村ダムってこれくらいの濁りは普通』で誤認してた。
良く考えたら野村ダムに来る直前に2日間早明浦ダムで釣りしたんだけど、凄いマッドラインが出来ていて『大雨降ったんだなぁ』って思ったのを忘れてた。
魚からの反応が直前プラで普通にあったから『イケるイケる』くらいのノリでバットをブンブン振ってたんですが、球に当たる訳ない。
と、今になれば思うんですが、試合中はそんな冷静じゃありません。
『どうすんだよ!』を頭の中でループして、13時を回った時点で『ダメだ。せめて揃えよう』とよもやのインターセクション周りのキーパー場へ。
最終順位3位のマーモ(加木屋プロ)もこのタイミングで浮いていて、必死にキーパーをライブウェルに入れていたので『必死だよな!俺も必死!』で、何とか残り時間内に500gと550gをフィッシュローラー3インチのミドストで2匹キャッチしてタイムアップ。
何とか揃った。これ何位になるんだ?
で初日は終了でした。
今年は53人参加なので26位はちょうどど真ん中。
予選すら危うい位置。しかも明日への手掛かりも無し。
鉄のハートを持ってるつもりだけど、もう一日はカバー撃てんよ・・・で初日は終えました。
正直、文字通りの『2日目探し直し』するしかない状況でした。
2日目はとりあえず初日後半にキーパーをキャッチしたエリア(つまりキーパー場ですね)付近で色々試すことに。
全く違うことを試し出すと何も手掛かりがなくなり過ぎなので、たまーにキーパーにも触れるように付近をウロウロしながら色々試す作戦。
ラッキーだったのは朝イチ。
エレキ降ろすとハス?オイカワ?の群れに突っ込みまくる魚をライブスコープで偶然発見!
コイツがなかなか沈まなくて何度も試させてくれたお陰で狙いだしてから15分くらい掛かったけどなんとかキャッチ!1200gのキッカーサイズ!フィッシュローラー3インチのミドストで。
たぶんお立ち台に上がったデプス安江プロ(最終2位)やエバーグリーン志達ミラプロ(最終5位)はこのタイプの魚を狙っていたことに後々気付く。
この魚を絶対無駄にしないようにまずはキーパーを集めることに専念して昼前には400gと500gをキャッチ。
広くない野村ダムの試合2日目(直前プラ合わせて4日目)ともなるとライブスコープで魚をシューティングすると私には喰わせ切れず、『普通釣りにして絞ろう』とカットテール4インチとスリムセンコー5インチのノーシンカーワッキーをバンクにフォールさせる今や?オールドスクールな釣り。それくらい色々試さないと私にはこのキーパー2匹すらキツい(汗)
その後はまだ捨て切れずにカバー撃ち。
心のどこかで『昨日の朝一釣れるには釣れたんだから一匹くらいは可能性あるんじゃないの?』と考えはクソ甘く、そんなんで釣れる訳もなく2日目も3匹ギリギリで試合終了となりました。
予選を16位通過となりました。
厳密にはクリアアップと減水でシャローカバーは終わってるって脳みそが受け入れられたのはこの時くらいで、遅過ぎるしダメすぎるけど何とかもがいての予選通過でした。
アテはないけど3日目に進むならやっぱり入賞(15位以内)は目指したい。出来れば10位以内まで捲りたい。
試合であり、仕事ですからそこはシビアに。
とは言っても、私にインターセクション周りしか釣っている場所はないのでこの日は直行。
前日みたいなラッキーキッカーを探すも巡り会えず、この日の朝一チャンスは450gのキーパーを2キャッチで終了。
日が登ってからは前日同様、ライブスコープをあまり当て過ぎずに(でも地形やベイトの有無確認にたまに当てる)、ノーシンカーワッキーをバンクやオーバーハングに入れて落としていく釣り。
こんな釣りを試合中に本気でしたの何年ぶりだろ。
人が減ったこともあるし、たぶん明確に季節が進行して(これが怖い)、ちょっと小さな雌が明らか釣れるようになり昼までに700gを2匹追加。
一気にガツンと上がるわけではないけど、上位以外は団子状態のこの試合では嬉しいナイスサイズ。
そして12時半過ぎに『あれ?シャローの岩に魚乗っかってない?』と映った気がしたのでカットテールノーシンカーワッキーを入れたらすぐにラインが走ってキャッチしたのがキロクラスのキッカー!で帰着となりました。
最終日は単日4位。
印象的だったのは全てキロ未満のメスだったこと。
やっぱり季節も進行したんだなと感じる最終日でした。
対プレッシャー、対季節の進行、どちらも出来なければこのシリーズは戦えないです。
最終順位は8位。
春のリザーバー戦はここ3年間、7位7位8位とあとちょっとが足りない試合が続いています。
今回は特に自信もあっただけに悔しさも大きいです。
佐々プロと試合後話をして同じような気持ちだった選手は結構居るんだろうなと改めて思いました。
結果や試合中の動きをお互いちょっと見ただけで『途中から凌ぎに回ったよね?』分かり合えるレベルが最高に嬉しいし楽しい。
たぶん彼と私が組んだメインパターンは違った(スタイルが全然違う)だろうけど『初日の途中でこれは凌がないとまずい・・・』と思ったのは同じだし、それでもしっかり帳尻合わせして最終12位入賞を果たす佐々プロも凄い。
改めてこのレベルの人達とする試合が『私の知る全ての釣りの中で最も面白い』です。
今大会もサポートメーカー各社には多大なるサポートを頂きました。
また冒頭でも書きましたが、開催に際し多くの地元住民の皆さま、チャプター愛媛スタッフの皆様のお陰で無事に戦い終えることが出来ました。
応援頂きました皆さま、会場にお越し頂きました皆さま、そして競ってくれた選手全員にも感謝です。
メインタックル
○8gテキサスカバー撃ち用
・プロト70MH/シマノ
・メタニウムXG KTF/シマノ
・シューター14lb/サンライン
・MSクロー3.6インチ/デプス
○ノーシンカーワッキー用①
・エクスプライド259UL/シマノ
・コンプレックスXR C2500SXG/シマノ
・ハードブル0.4号プロト/シマノ
・Vハード1.5号/サンライン
・カットテール4インチ/ゲーリーインターナショナル
○ ノーシンカーワッキー用②
・エクスプライド259UL/シマノ
・ヴァンキッシュ2500SHG/シマノ
・シューター4lb/サンライン
・スリムセンコー5インチ/ゲーリーインターナショナル
○ミドスト用
・13ポイズンアドレナ261UL/シマノ
・ヴァンフォード2500SHG/シマノ
・シューター4lb/サンライン
・フィッシュローラー3インチ/レイドジャパン
魚探&エレキ GPSMAP8416XSV、1223XSV、ライブスコーププラス
フォースプロ(フロントエレキ)/ガーミン(G-FISHING)
バッテリー インパルスリチウム/インパルスリチウム