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  1. ラインの『いろは』

ピットブルG5 高比重PEの注意点

1月のオンラインフィッシングショーに合わせて行われたシマノ新製品お披露目で、私が今季(に向けて)最も力を入れて開発に携わらせて頂いたのはロッドでもリールでもなく『高比重PEラインピットブルG5』です。とブログやYouTubeチャンネルでお話させて頂きました。

ピットブルG5 PITBULL G5

リリースから約1ヶ月。もう本当に本当にありがたいことに沢山の方に使って頂いて、半年分で予定していたメーカー在庫ほぼ無くなり(本来無くなっちゃダメ)、もう間も無く追加生産分がメーカーの倉庫に再び入庫するはずです。
高比重PEは釣り糸の中でもニッチな製品で、且つ今回は『ルアーフィッシング』に絞っていたためどんな結果になるかは担当者と一緒にドキドキワクワクでした。
多くの方がシマノ製品だから安心して選んで頂けたんだと思いますが、少数でも『黒田の動画やブログを読んで使う気になった』という方がいらっしゃったら私は最高にハッピーです。
今までラインに関しては決められた中からどれを製品にするかを選ぶことはありましたが、釣り糸の開発にしっかりと携われたのは今回が初だったのでルアーやロッドのように宣伝の勝手も分からず、結果いつも通り事実のみを動画やブログで伝えました(笑)

私に勉強もさせてくれたピットブルG5。

さてそんなピットブルG5ですが、そもそも高比重(シンキング)PEの特性を知らない方が多いのを知ったのもこのピットブルG5を通してでした。
なので今日はピットブルG5をはじめとした高比重PEはどう使うとメリットが多いかをお話させて頂きます。
そんなん知ってるよ!って方も、え?単純に5本撚りの糸なんじゃないの?と思っている方も宜しければご覧ください。

これを見るのが一目瞭然。

皆さんが良く使う通常PEラインは4本撚りや8本撚り、ピットブルだと12本撚りまでラインナップに存在します。
基本は同一素材、同一径の繊維をその本数分撚って作り上げているのが通称PEラインと呼ばれる撚り糸です。
※その対局にナイロン、フロロのように1本の繊維で出来ている糸をモノ(単一)フィラメントと呼びます。
じゃあピットブルG5も同一素材、同一径の繊維を5本撚っているかというとそうではありません。
芯材と呼ばれる中央の繊維は比重が高く沈む素材を、周りの4本を通常のPEラインに使われるような撚り糸で囲うような構造をしています。この高比重な芯材のお陰で沈むわけです。

ただここで問題があります。
芯材は比重こそ重たいんですが、周りの4本に比べて引っ張り強度は高くありません。
単純に同じ1.0号のPEラインとした場合。4本撚り(ピットブル4)の一本づつの繊維に比べて、5本撚りのG5は一本づつの繊維は細くなります。(そうしないと1.0号の太さ基準に収まらないから)
芯材となる高比重繊維の強度が低いとなると、当然周りの4本は4本撚りよりも細くなるわけですから、単純に同じ1.0号でも引っ張り強度は低くなります。
もちろん繊維の太さだけで強度が決まるわけではない(撚りピッチや単純な素材も関係する)んですが、強度を出すための繊維が太いか細いかは強度に大きく影響します。
これはピットブルG5に限らず、使う繊維素材こそ違えど全ての高比重PEに共通して言える特徴です。
つまりは高比重PEってそもそも強度が低いPEラインです。
強度よりも比重を取るシチュエーションでなければ今まで通りの通常PEラインを使うことをお勧めします。

もちろんフロロやナイロンに比べれば遥かに高強度ですが。パワーフィネスはピットブルG5の1.5〜2号がメイン。

加えて普段、4本撚りPEラインを使う方なら良くわかると思いますが、基本撚り数の少ないPEラインは表面が凸凹でゴワつくし、硬いです。
ゴワつくし硬いということはまず飛距離が出にくい。加えてノイズも大きいです。
ただこれはメリットも大きくて、表面が凸凹のためにリーダーとの結束強度は他PEに比べてかなり高くなります。(特にFGやPRなんかの摩擦系ノット)
※なので私はリーダー結束に慣れないうちは4本撚りをいつもオススメしています。

ゴワつく点も特にソフトベイトやベイトリールとは相性が良く、適度な硬さがラインをコントロールし易かったり、ベイトリールでのバックラッシュを軽減させてくれます。

流行りのチヌにはピットブルG5が最適です。こちらは0.8号。

ピットブルG5をはじめとした高比重PEも、従来のしなやかで軽いPEも、どちらにも長所短所があり使い分けが重要です。
なので今まで通り投げて巻く釣りにはピットブルシリーズ含め通常のPEがオススメです。ピットブルG5は適していません。

最後に私が良く使うピットブルG5の号数ごとの使い分けをご紹介いたします。

0.6&0.8号
バスフィッシングのライトリグ用。今まで4lb前後でやっていた全てのリグへ。
最も使うのは0.8号でチヌのソフトベイト用。スピニング、ベイト問わずコレ!
ちなみに一番市場から無くなるのもこの二つ(滝汗)

1.0&1.2号
私は一番使わない号数(笑)
1.0号はソルトベイトでのソフトルアー入門には最適。

1.5&2.0号
パワーフィネスやるならこの二つ!
Mのロッドには1.5号に14lb、Hのロッドには2.0号に16lb。どちらも直結もやります。
オールマイティなMHのロッドにはフィールドやルアーで両方使う。

ちなみに昨年ボツにした0.4号、0.5号を始めとした細い番手は引き続き作り直して開発中です。
こちらはいつになるか分かりませんが、気長にお待ちください。

先日、SNSで『一番使うピットブルG5の0.8号と1.5号が底ついた!』と書いたら担当者がなけなしのスプールを送ってくれました(涙)ガチでメーカーにも無いんですが、追加分がもう完成するのでちょびっとだけお待ちください。

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