kenshikuroda.com

  1. タックルの『いろは』

ブレニアス エクスチューン S72ML

既に一月の新製品紹介時にブレニアスエクスチューンについて一通りの開発経緯や、オススメの使い方はご紹介済みなんですが、私の住んでいる浜松でもチヌシーズンが本格スタートしたので更にそこから掘り下げた内容を本日はUPしたいと思います。
これからチヌゲームを楽しんでみたいという方はもちろん、既に私がプロデュースしたブレニアスや前メーカー時代のロッドを使われている方にも是非、お読み頂きたい内容です。

さてその前に。
まず現在チヌゲームが置かれている時代をちょっとだけ整理しておきたいと思います。
まず私個人としてはルアーでのチヌ釣りを始めて約20年が経ちます。初めてルアーで狙って(シーバスの外道じゃなくて)チヌを釣ったのが2003年頃でした。当時大学生。

個人的には今のチヌゲームはver3.0になってしばらく(数年経ったころ)だと思っています。

ver1.0時代はもちろんチヌがルアーの対象魚になった頃。この頃はナイトゲームが主で『ナイトでないと釣れない』という頃だったと思います。ボトムの釣りがメイン。

ver2.0時代はver1.0に対し『デイゲームでも釣れること』『ハードルアー(トップとか)でも釣れること』が分かってきました。
先程上げた私がチヌゲームを始めた20年ほど前はちょうどver1.0〜2.0に移り変わる頃で、人によって言うことが違うし、新たな釣り方が見つかっているタイミングでもありました。
全国レベルのメディアで取り上げられるようになったのはこの頃だったと思います。

ただこのver2.0〜2.99の間がとにかく長がった。
細かいところでのバージョンアップはあるものの『釣りが変わった』と呼べるほどのものではく、全国的に見てもチヌゲームのコーナーは小さめ。
特に関東では『東京はチヌやキビレ少ないから他地域と違いバイブレーションの早巻き以外釣れない』と言われ続けていました。何度関東に行ってもそうでした。ガチでつい最近(たぶん2019年くらい)まで。

私がメガバス時代〜2021年までに作ってきたチヌロッド&ライトシーバスロッドはどれもver2.99までのもの。

そしてここ2、3年で時代は間違いなくver3.0へと変貌しました。実に20年ぶりのバージョンアップです。
その立役者は説明の必要はありませんが、もちろん淀川もりぞーさん(元オリムピック、現在ダイワプロスタッフ)です。
関東で当たり前のようにチヌが釣れるようになったのも、ただでさえ人気ターゲットだったチヌが浜名湖で更に人気が増したのも、もりぞーさんがフリーリグでのチヌ攻略を開拓したからに他なりません。

上から20ブレニアスBBS70ML、19ブレニアスS70ML、22ブレニアスエクスチューンS72ML。

そろそろロッドの話に戻ります(笑)
私はシマノとのソルト契約後、2019年のブレニアスモデルチェンジ、2020年ブレニアスBBと開発に携わらせて頂きました。どちらも担当機種はS70ML。
これはどちらもver2.99での製品で特に19ブレニアスS70MLに関しては今でも文句なしの完成度だと自負しています。
当時のブログをご覧頂ければわかりますがやりたいことは全部やった。

そして22ブレニアスエクスチューンS72MLはその正統継承モデルでありつつ、私なりのチヌゲームver3.0を強く意識して作りました。
私の中でのver2.99→ver3.0の一番の違いは『ソフトルアーを含むか否か』ということでした。
19ブレニアスS70MLでのメインはトップウォーターやミノー、シャッドを中心とした操作系のハードルアーでした。開発段階からソフトルアーは一切意識しませんでした。

『じゃあ22ブレニアスS72MLは今流行りのフリーリグをやれってこと?』というとそれは違って、自分の愛竿を崩してまでやることではないし、今更やっても追いつけないです。
私がこのロッドのコンセプトに盛り込んで、且つ時間をかけてテストしていたのは『フリーリグの登場によって広がった新しい(ハードルアーだけでなくソフトルアーを含めた)考え方に対応出来る様に』というもの。
周りくどい言い方をしてるけど、今のフリーリグ中心のチヌゲームはバスフィッシングでいうところの『テキサスリグしかない状態』に近いと思っています。
基本となる偉大なリグだけどダウンショットやノーシンカー、ジグヘッド等、ソフトルアーでも様々使い分けて攻略していくのがバスフィッシングの面白さです。
今後、チヌゲームもver3.0以降はここを探求していくことになるのではないかと私は思っていて、私なりのその一つの提案がこのロッドだったりします。

昨年は様々な場面でこのロッドのプロトを用いたフリーリグ以外のソフトベイトがキーとなりました。

もちろん従来通りトップやミノー、シャッドにも一切妥協していません。
ただ何度もになるけれどこれからのチヌゲームにも対応できるように味付けしています。

しばらくはこれ以上のものは想像出来ないです。

具体的にロッドの味付けとして何をしているかというと、(ソフトルアーを扱うとなると)より繊細な誘いが必要になるので19ブレニアスS70MLよりもライトでしなやかなティップを。
しかし、それでベリーから下を19ブレニアスS70MLと同じにしてしまうと今度はルアーやフックサイズによっては刺しきれない可能性が出てきてしまうのでベリーを少し強く。
つまりティップとベリーのギャップを大きくする。
ただそれだけだと当然、曲がりが不自然(キャストで曲げきれない)になり飛距離が落ちやすくなるので全体で整えながら『ティップはしなやかで動かしやすく、ベリーは硬くて針をしっかり刺せて、全体のしなりは違和感なし』としています。

同じシマノスタッフで東京湾ガイドの家田さん。昨年浜名湖でプロトのS72MLを使ってキャッチした一匹。

『コレで完璧だろ!』と思って、最後のチェックを兼ねてシマノスタッフの東京湾ガイド家田さんに何の説明(どんな調子でどんな狙いがあるか)もなく投げて、動かして、掛けてもらって合格を頂いたので安心して完成したのがこのロッドでした。
※自分が良いと思っていても判断が狂っていることもある。

時代の流れと共に道具も変化して然るべきです。
チヌゲームに関してはその大きな変化のタイミングが奇しくもこのエクスチューンのタイミングで来ました。
時代のバージョンアップについていけるように。そして黒田からの新時代への提案がこのロッドには込められています。

この先しばらくこれを超えるものは作れると思わないし、今後もしブレニアスがモデルチェンジしても私の全てのベンチマークはこのロッドになる機種です。

タックルの『いろは』の最近記事

  1. 24ヴァンフォード実釣動画

  2. Availアベイル アルミ音出しラチェット

  3. 24VANFORDヴァンフォード

  4. 『良い釣り道具』とは?

  5. 24カルカッタコンクエストシャローのノーマルギア化

関連記事

最近の記事

アーカイブ
PAGE TOP