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  1. フックの『いろは』

サワラキャッチャー/jijijijiji

本日からJBクラシックのために河口湖に来ています。
明日、前日練習で土日の二日間で競われます。
昨年はクラシックが津風呂湖開催だったので二年ぶりの河口湖です。

サワラキャッチャーの注文用紙

こんな感じのパッケージです。

ちょうど二年前の秋頃から『ブレードジギング用ダブルフック』を開発していました。
最初はBKKに『作らない?』と持ち掛けたのですが、当時はまだ今ほどブレードジギング(によるサワラゲームかな)が全国で行われるところまではいっておらず、更に既にBKKにはメタルジグ用のシングルフックは多種多様にラインナップがあり『そんなの本当に売れるの?メタルジグにダブルフック(ツインフック)なんてほとんど見ないけど』という激塩対応でした(笑)
ならまぁ自分で作るかと、もちろんBKK製造ではあるんですが、取り掛かり始めたのが事の始まりです。

左BGダブル/VANフック。右ブレードダブル/オーナーばり。

サワラや青物用ブレードジギングでのダブルフックのパイオニアと言えばVANフックさんのBGダブルです。私も初めて使ったダブルフックはこれでした。
今でも変わらず『これが一番』という船長も多く、おそらく店頭で最も見かけるブレードジギング用ダブルフックのはずです。
昨年にはオーナーばりさんからブレードダブルというフックが登場。
元々、ルアー用フックとして人気のあるオーナーばりのダブルフックという事で使われている方も良く見ます。

正直、元々のBGダブルに不満があったというよりは、そもそも選択肢が無さ過ぎて(二年前は一製品だったので)、『自分でも作ってみたい』『BKKの鋼材であればどんなのが出来るかな』というのがスタートラインでした。
トリプルフックのように成熟している分野とはまた違って、形状から鋼材まで様々な可能性や製品開発の余白が残っているわけですから。そりゃ作ってみたい。

左BGダブル/VANフック。右1stプロト。

まず最初にストレートポイント仕様を試作して試しました。
BGダブルは針先がねむっているのですが、そもそも従来のシングルからダブルにすることで誰もが『もっと掛かるように』を狙っている訳ですから、わざわざねむらせる(初期掛かりしにくくなる)必要なんてないんじゃない?ストレートポイントにしてガンガン掛けていく仕様にしたら良いじゃん。って軽い考えでした。

効果を見たい意味もあってBGダブルとほとんど同じ形状で試作。

昨年オーナーばりから発売されたブレードダブルも同じストレートポイント。やっぱりこう作りたくなります。

大阪湾の角井船長。

ちなみにこの二年間の試行錯誤は『日本で一番サワラを釣る男』のシーマジカル角井船長にお手伝い頂きました。
バスフィッシングシーズンは私が実釣テスト出来ないので彼に任せつつ、データを試行錯誤し、秋から冬に二人で一緒に試して意見交換。こんな感じで進めました。
私がバスフィッシングのハイシーズンとはいえ、自身が作るもので他人に『実釣テスト』を任せたのは人生で初のような気がします。それだけ彼の釣獲力とサワラや青物ゲームに対するロジックは信頼しています。

このファーストプロトは私が使う前に角井くんから『結構バレる』という指摘を頂きます。
最初は理屈が分からなかったのですが、二人で釣りをしながら掛かり方などを観察するうちに『こういう理屈ではないか』という結論に至ります。

魚の口に掛かるときはこんな感じのテンションになるはず。

ジグの針先を重力で指に立てているので実際のブレードジギングでは逆の構図になるはずですが、フックアップ時魚の口にこんな感じにコンタクトするはずです。
ハードルアーなんかに比べるとライン→ルアー→フックが圧倒的に一直線になりやすいのがメタルジグ(ブレードジグ)です。
特に高速で巻けば巻くほど一直線になります。

ストレートポイントだと針先に掛かる力が外に逃げやすい。

そうなると必然的に力はどんどん外側に逃げようとします。
強く合わせれば合わせるほど、早く巻けば巻くほど、外に逃げます。
こうなるとストレートポイントはとにかく弱いです。
これがもっと力の掛かり方が複雑で更に同じルアーに他フックも取り付けられているハードルアーや、フックに直結びをするワームフック、ジギングのようにアシストフックとしてケブラーなどを介するフックであればまた事情は違うんですが、ブレードジギングでは『針先が負荷で外側に逃げる』というデメリットをもろに受けます。

この時点で、改めて最初に市場に出たVANフックのBGダブルがいかに凄いか驚きました。

線径やサイズいじってたけど全て無駄だった。

これを回避するには二つしか手は無くて、一つはBGダブル同様に『針先を内傾(ねむり)させる』という手段。
もう一つは『アイに最初から角度を付けて負荷が掛かっても針先が外に逃げないようにする』という方法。
ただ後者は問題があって、アイに角度をつけると抵抗が大きくなってそもそもブレードが回らなくなる。
結局『針先を内傾させる』という手段しかないことに。

2ndサンプル。1stサンプルの内傾バージョン。

結局こうなる。
最初、『まだ開発の余白がある』とか思っていたんだけど、かなりやれることに限りがあることを痛感していたのが昨秋。
BGダブルの形状の完成度ってかなり高い。

内傾させるだけでやっぱりバラしは減る。

そうなるとあとは『逆にBGダブルの欠点は何だろう』という考えに。
一つは線径(太さ)を自分のフックではもう少し太くしたかった。
というのもBGダブルが折れたことは一度も無いんだけど、番手によってはブリクラスや大型のサワラで開いたことは何度かあった。
ここを改善するために自分がブレードジギング用のフックを作る際には絶対にもう少し太くしたかった。
具体的にはBGダブルは一番太い番手でも1.26mmという線材が使われているんだけど、今回のサワラキャッチャーにはMサイズで1.26mm、Lサイズでは1.36mmを使用しています。Lサイズは10キロのブリでも開けないはず。

もう一つは刺さり重視で『左右の開きを狭くしよう』と思った。

左右の開き具合を何種類か試作。

というのもダブルフックの場合、構造上左右の開きを狭めるほど『貫通力』は上がる。
そもそも何でダブルフックを使うかというと『キャッチ率を上げたいから』なんだけど、たぶん多くの人が『ダブルフックを使うと二本がしっかり刺さってバレ難い』というイメージだと思う。

確かに左右が開いているフックよりも・・・

狭いフックの方がフッキング力は上がる。

ただ経験則として左右の幅が狭いフックの方がキャッチ率が低いように感じます。
というかそもそも『ダブルフックの針先両方がバーブまで貫通している』なんてほとんど見たことが無い。ジグが丸呑みされて喉やエラまで入った時くらいしか両方刺さってない。

ダブルフックでも口周りだとほとんどこんなの。

これも両方刺さっているように見えて片方だけです。

たぶん、この『ダブルフックは針二本が刺さるからキャッチ率が高い』は多くの場合で間違いで、そもそもダブルフックでも二本刺さることは稀。
となると『そもそもダブルフックって必要なのか?』という大前提に疑問すら生じる。
ただ、角井船長クラス(年間2000~3000匹サワラ、サゴシも観るはず)でも『トータルすると明らかにダブルの方(がキャッチ率高い)ですけどね』という感覚で使ってる。
そんなことをシマノの撮影中にも議論していると、水中撮影でブレードジギングルアー(シングルフック)のスイミング映像を二人で見ていて『これじゃね?』となる。

こうやって回っていたり。

これがメチャクチャ多い。

シングルフックのブレードジギングだと、よく見ると針先がブレードで隠れている、ブレードに針先が立っていることがかなり多い。私たちも何度も水中映像撮っているから気付いた。
ブレードジギングで『ドゥルン』とバイトしてくるのに掛からないことって多くの人が経験あると思うんだけど、こうなっていることが多いんじゃないかと。
だから角井船長も『トータルするとダブルフックが優秀』となるのではないかと。

ダブルならこうなっても。

こうなっても片方は生きるから。

逆にフックの幅を狭めたダブルフックがイマイチなのは、シングルフック同様に針先が(両方)隠れてしまう現象が起きているからではないかと。

左BGダブル/VANフック。右サワラキャッチャー/jijijijiji。

左BGダブル/VANフック。右サワラキャッチャー/jijijijiji。

最終的に恥ずかしながらどんどんBGダブルに似ていく。
もちろん細部も違うし、線材や線径はVANフックさんとBKKではそもそも違う。
トリプルフックなんてもっと似ているものが山ほどあるけど、『まだまだ試行錯誤の余白がある』と思って着手したブレードジギング用フックが色々試作した挙句、原点に戻っていくのは非常に複雑な心境でした。
角井船長が『黒田さん。これが圧倒的に良い』といったのもやはりこの4thプロト(=製品)でした。悔しい。

最後に仕様確定させた図面。MサイズとLサイズ。2サイズ展開。

角井船長が沢山試してくれて、私が沢山設計と工場打合せして生まれました。

ぱっと見は太さやデザイン的に別に何にも似ていないと誰もが思うと思います。
ただ手を付けられる要素はかなり少ないジャンルだなという事を作りながら痛感しました。
もし同業者の方で挑戦する方はお気を付けください(笑)

多くの方が使ってくれているファングスシリーズ同様UA(ウルトラアンチラスト)コートです。防錆性能はピカイチだと思います。

リアルに今シーズン使っているサワラキャッチャー実物です(10釣行くらい)。

正直に色々と開発経緯を書きましたが、世に出すものなので非常に自信作です。
線径は従来製品に比べ若干太軸で青物や大型サワラでも耐えてくれます。
特にメーターオーバーがアベレージなんて海域や、ジギングタックルのジグにブレードを付ける狙い方をする海域ではLサイズはサイズ、強度的に唯一無二です。
価格も現状では最安のはず。
防錆、防腐もたぶん最強です。1釣行で錆て使い物にならない、交換するとかはないです。
既にブレードジギングでダブルフックを使っている方は強度と、錆び難さにビックリするんじゃないかなと思います。

50gまではMサイズ、60g以上はLサイズが私の使い分けです。

先月10月半ばより発売されています。

お取り扱いはいつも通り府中屋さんのみです。
ご注文いただけましたら幸いです・・・というよりも多くの量販店さんと、ネットショップさんが既にリピート注文を頂いていて欠品しないか常に不安です(汗)
現状はフック単体のみでの販売です。

シングルフックや既存のダブルフックで悔しい思いをしたことのある方の元に届きましたら幸いです。

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