毎年お約束の新製品紹介ブログです。
昨年同様、YouTubeチャンネルでも詳しく語らせて頂いておりますので、宜しければそちらも合わせてご覧ください。
例年通りの前置きになりますが(笑)新製品は私がご紹介するもの以外にもあります。
例年通りの『自分ルール』で自身が開発に携わったり、テストに参加したもの、今シーズン以降、メインに使うもののみのご紹介です。
他製品に関しましては是非シマノオフィシャルHPやシマノYouTubeチャンネルをご覧下さい。
今年もいくつか開発や企画に携わらせて頂いた新製品があるのですが、その中で私が最も力が入っていて且つ革新的だと思うのがこのハードブルです。
正直、リールやロッドを変えたら釣りが快適になったりもちろんしますが、今の時代どの釣具も非常に完成度が高く『これじゃなきゃ!』ってものなんてほとんど無いと思うんですね。
今年シマノからはツインパワーがモデルチェンジしますが、もう完成度が高過ぎて『ステラだと釣れて、ツインパワーだと釣れない魚が居るか?出来ない釣りがあるか?』と聞かれたら私は居ない。ない。と言ってしまいます。
ただこのハードブルに関しては唯一無二。
『このラインじゃないと』
が起き得ます。
皆さんこの『イザナス』ってロゴ見たことあると思うんです。昔は『ダイニーマ』なんて呼ばれたりもしていました(名称変更してイザナスになりました)。
東洋紡という会社が製造している原糸の名称です。
日本に釣り糸メーカーは沢山ありますが、各社PEラインにはこのロゴが付いているものが大半です。
これは何かと言うと『原糸』と呼ばれるもので、PEラインの多くはこのイザナス原糸を4本や8本、一部高いラインには12本とか使って撚って作り出されています。
シマノのピットブルシリーズもそうです。
良く『PEラインを作れるのは数社』なんて言われますが(事実撚り糸を作れるのは数社)、それ以上に『PEラインの原糸は数社どころか、1択かあって2択』というのが現実でした。
もちろんどう味付けをするかは『PEラインを作れる数社』で違いがあり、皆さん存知のように撚り数(○本撚り)や撚りピッチ、コーティングや熱処理などによって違いはありました。
ただそのどれも基本、原糸は一緒。根本的に極端に大きな差はないというのが現状でした。
このイザナスは原糸としてとても完成度が高く、皆さんご存知の通りメチャクチャしなやかで強い。
私はシマノピットブルシリーズやサンラインPEエギULT&ジガーULTでこのPEラインを使っているし(全てイザナス原糸)、その他の極細PEなんかも全てイザナスです。
バスでもソルトでも、もうこのイザナス原糸のPEラインが無くなったら私は釣りが組み立てられないし、同じような方は沢山居ると思います。ソルトルアーフィッシングなんて最早『PEラインありき』ですからね。
私自身、4年前にいち早くイザナス原糸の高比重PEライン『ピットブルG5』をプロデュースして沢山の方に使って頂いているし、その後各社から高比重が続々とラインナップされました。
もうイザナス原糸のPEラインが無くなったら釣りが成立しない人って沢山居ると思います。
私はずっとソルトとバス両方の釣りをしてきたのでPEラインを使い始めて20年以上が経つし、昔のPEラインに比べたら今のPEラインって最高に使い易い。
もう不満なんてないです。
とはいえPEラインはどうしても2つの欠点がありましたよね。
1つは『擦れに弱い』こと。何もなければ(同号数の)フロロの4〜5倍も強いのに、ストラクチャーに擦れたりしたら簡単に一瞬で切れちゃう。
もう1つの欠点はしなやか過ぎるが故に『(ベイトリールで使うと)バックラッシュし易いし、したら一瞬で喰い込んでる』こと。ただこれは『もっと練習しろ!』ってスパルタな考え(笑)か、『ちょっと太いのを使ってバックラッシュしないように対策しろ』ってなりますよね。ま、太くしたらPE使うメリットあるのかな?ってなるけど(汗)
でも仕方ない。それを補って余りあるメリットを享受してるんだから。
なので少しでもPEラインの中で『これの方が(僅かに)擦れに強い』とか『このラインは(僅かに)バックラッシュし難い』の試行錯誤をしてきた歴史があります。
そしてその『PEラインの致命的な欠点』の全てをこのハードブルでひっくり返したいと思います。
このハードブルには『スペクトラ』という原糸を使っています。
これを釣り糸に使えるのは日本では唯一シマノのみ。(色んな事情で)
『釣り糸では』としたのは、一般的には防弾チョッキや登山用ロープでは国内でも使われている素材です。
命が掛かるような現場で使う繊維に採用されている素材です。
そこからも分かりますよね。とにかく『擦れに強い』のがこのライン。
『強いってどれくらい強いの?』となると思うんですが、計測方法&環境&使用号数次第で変値しますが、私の肌感で『従来PEの3倍くらい頑張る』というのが率直な感覚です。
※計測方法次第では10倍とかも数値上は出るけどどこをデータとして切り取るかが難しい。これに関しては『自分の肌感』の方が実際の魚釣りのリアルに近いと思っています。
とりあえず使ったら誰でも感じられるくらい『耐摩耗性は高い』です。
そしてこのハードブルはその名の通り『硬い』です。
これまた『どれくらい硬いの?』となると思うんですが、とにかく皆さん触ったことがないくらい硬いはず。
硬さは表現しやすくて、ナイロンとフロロの中間くらいの硬さです。
普通に切れ端を摘むと『ピンッ』と立ちます。
そしてその硬さのお陰でベイトリールとの相性が格段に良いです。バックラッシュし難いし、しても一瞬で喰い込むはなく、まるでナイロンやフロロのように少しづつ浮き上がってきます。
ただ当然ですが、その硬さ故にスピニングリールでの飛距離は望めません。
0.6号とか0.8号とかをスピニングで扱うならそこまで気になりませんが、1.0号以上をスピニングで扱うと明らかに叩く感じがします。
全てが『ハードブル最高』なんて言うつもりはありません。
明確なメリットがあるが故に、明確なデメリットもあります。
私だって今シーズン以降も変わらずピットブルシリーズと併用です。
伸びが少ないスペクトラ原糸は感度が良いのも特徴。
元々、スペクトラ原糸は伸びが少なく、撚り糸にした際にイザナス原糸よりも2/3くらいの伸び率しかないとされています。
さらに硬いが故に不要なスラックも出ません。フロロラインのようにコントロール性が高いのが特徴。
ソフトベイト全般やチヌのようなバイトを取ることに重きを置く釣りには最適です。
冒頭で書いたように、
『このラインじゃないと』
が起きる数少ない釣具です。それは私が保証します。
今回このスペクトラ原糸を用いたPEラインを展開するにあたり社内でもかなり揉めたはずです。
シマノでしか展開出来ないスペクトラ原糸PEラインとはいえ、既にピットブルシリーズ(を始めとしたらイザナス原糸PE)は大人気PEラインで、且つそれとは真逆の特性を有したPEラインがハードブルです。
そして20年以上前にシマノはパワープロ(同じくスペクトラ原糸)という製品を日本展開し、あまり定着しなかった過去を持っています。
当時のパワープロは今回のハードブルよりも遥かに低品質で、まだ『PEライン=細くて良く飛ぶ』くらいの認識と使い方しか認知されていなかった日本ではあまり受け入れられませんでした。
圧倒的に高品質になったハードブルとはいえ賛否があって当然なんですが、何より私も『自分の武器になる』ということと『今の日本の環境(バスフィッシングでのPEラインとベイトPEの普及、チヌゲーム人口の増加)なら絶対受け入れられる』という自信から足掛け4年。細部を詰めて完成に辿り着きました。
ラインナップは0.6号から6号まで!の脅威の11ラインナップです。過去に1シリーズでここまで展開したPEラインってあったのかな。
とはいえ、どこまでいっても使わないと分からないのがラインなんですよね。
今までのPEラインと全然違う。っていくら口と文字で書いても伝わらないですよね。
なので、シマノ史上最大の暴挙に出ます。
フィッシングショー3会場(横浜、大阪、名古屋)で合計4000ボビンを来場者にプレゼントです。平均で割っても1会場1000ボビン以上です。
シマノが過去に製品を配ったことなんてもちろんありません。
しかも4000ボビンって、年間4000個売れてないラインだって世の中にはいくつもあるはず。
一回使って貰えれば『全く違う』って誰でも分かる自信があるからやるし、気に入ればハードブル一択になるのを分かっているからの試供です。
もちろん全員に合うとも思っていません。イマイチな使用感の人も一定数はいるはず。
自信があるから大勝負です!!!