今期、自身の人生で5アイテム目のチヌ用トップウォータールアーが発売されました。
シマノから出たライズジョイント75Fです。
たぶん日本で最も沢山のチヌトップ用ルアーをプロデュースしてきたと思います。
※ポッピングダックから全ての開発内容がブログ内にあるはずです。すぐ見つかった記事だけ貼りますので他はお手隙で探してください(笑)
どれもその時々で自身が考えうる全てを詰め込んでいます。
チヌトップは一時期より一般化したので多くの方がご存知の通り他魚種とは一つ違った難しさがあります。
それは『フッキング率の低さ』です。
例えばブラックバスフィッシングであればトップウォーターといえば玄人であれば9割以上、初めてであっても半分以上をフックアップ出来る釣りです。
一方、チヌのトップウォーターフィッシングは半分掛かれば悪くないし、玄人であってもコンディションによっては1.2割しかフックアップ出来ないことがあり得る釣りです。
もちろん根本的にバイトが無ければ話になりませんが、『バイトの後のフッキング率』も同レベルで重要視しなければいけない釣りでした。
その為、2014年にリリースされた私のチヌトップルアー処女作であるポッピングダックではフロント8番、リア5番というどう考えても不釣り合いなセッティングがなされています。
これはポッパーを立ち浮きにして、更にリアフックを大型化させることで『フックポイントを出来る限り下方』にし、ルアーを噛みつきにきた瞬間になんとかこの針に掛けてしまおうという考え方です。
ただポッパーのようにポップ音を出すだけなら立ち浮き気味のこの手法が使えましたが、左右への首振りやドッグウォークをさせたいようなペンシルやペンシルポッパーではその動きの特性上、ある程度は『水平浮き』せざるを得ず、なかなかそのバランスが難しいのが今まででした。
そんな時に『だったらアクションさせる上半身と、フッキングの為に沈み込ませる下半身別々に作れば良くない?』と思いついたのが2022年頃。
すぐにシマノ開発にネタを話して作ることとなります。
私の過去のチヌトップルアー含め、雛形があるわけでもなく完全新規で作るので『まずどうやったら動くか』をライズジョイントでは詰めました。フッキング率は後回し。
今回は『首振り7:ポップ2』くらいで作り込んでいったのですが(ポップ音優先するなら立ち浮きのポッパーで良いから)、上半身と下半身のバランスを色々試しながら作っていきました。
『下半身が太い方がブレーキになって首振りの移動距離を抑えられるのでは?』と思った時もあって、見るに耐えない下半身デブも居ます(汗)
上半身はほとんどノーウェイトな上半身7:下半身3くらいが最もアクションのバランスが良くこれで更に精度を高めることに。
同じ感じでABS樹脂で作り、釣り込んでいく。
アクションは狙った通り良い感じなんですが、次の問題が発生。下半身が暴れてラインを拾い過ぎる。
この段階のプロトは下半身が360°バリアブルに動くような仕様で自由過ぎるが故にラインを拾ったり、フック同士が絡んだり。
そもそも下半身は『フッキング率アップのための下半身』なのでこんな自由にする必要なし!
で作り直し。
というかジョイントの仕方や角度を再考し直し!
下方向へは折れ曲がるけれど、左右と上にはほとんど可動域が無いようにジョイント部を調整しました。
ここまでくると後は魚に聞いていく作業。
この『(発案から)実釣で使えるレベル』まで昇華したのが2023年頃。
このまだ顔が彫られていないプロトで実性能テストを繰り返しました。
思わぬ誤差ってほどではないんですが(可能性は感じてた)、フロントフックにしっかり掛かるくらい真横からバッコン!って喰ってくる魚にもファイト中にリアフックが掛かりやすい。自由度高いからファイトしてる最中に掛かっていることが多発。ラッキー現象でした。
ここまでくると『ほぼ製品』みたいに見えると思うんですが、実際にはこの全てが製品と違う顔(カップ)です。
最後のカップの微調整は90点を95点に、更にそれを98点にみたいな作業で、たぶんどれで出しても問題なく釣れるんだけど自分なりの使い易さを追求していく作業です。
こうして私の5つ目のチヌトップルアー自信作は完成しました。
自重は10gなのでベイトでもスピニングでも扱えるところを狙いました。
発売は先々月(5月)からしているんですが・・・なんでこんなにこのブログが遅くなったかと言いますと、正直なかなか店頭に並んでいるタイミングが少ないと思います(汗)
正直、色を選ぶとかはかなり難しいかもしれません。ごめんなさい。
毎月シマノがかなり作ってくれているんですが、昨今のチヌアングラーの増加も伴って私もあまり店頭で遭遇できません。
まだしばらく続くかもしれないんですが、是非巡り会えましたらお手に取って頂けると嬉しい限りです。