TOP50シリーズに復帰した2017年の第2戦。
舞台も季節も全く同じ。
この画像は最終日に2日目までの暫定順位順にウェインをして『暫定トップ席』と呼ばれるシートに私が座っている時のものです。
残すは五十嵐プロと三原プロ、そして優勝した青木プロのウェインでした。これは五十嵐誠がウェインしている真っ最中のもの。
私は結構お気に入りの画像で(ジャッカル社のサポートに来ていたNさんが撮影してくれた)、色々なところで使っていたりするので『何でこんなにしかめっ面なんですか?』って聞かれることがあるんですが、ウェインに待つ中でなんとなく暫定上位の魚は見えていて、絶対に勝てないと分かった上で座った数十秒だったからです。
事実、この直後に五十嵐プロに引きずり下ろされます。
最終順位は4位でした。
今大会、予選を11位で通過(予選自体は9位でしたが、最終順位は総重量のため実質11位)。
予選2日間を終わって暫定トップだった五十嵐プロとは5キロ超の差。お立ち台ですらその差は3キロ。
正直、絶対に勝ちはないと挑んだ最終日でした。
最終日決勝は暫定上位のみ最後のウェインなので、11位だった私はビッグウェイトなのは分かっていましたが普通に列に並んでのウェイン。
魚をリリース後、一応現在のトップなので暫定トップ席へまたもや立つことになります。
とはいえ内心では『またすぐに引きずり下ろされるのに(涙)』と思いながら壇上に上がりました。
最後のウェインは5年前私を引きずり下ろした五十嵐プロ。
その差はたった1500gほどでした。
彼とは付き合いも古くて、いつもお互いに相談や成長を共にしてきたと(私は)思っています。
とはいえ彼はほとんどのタイトルを獲得していて(たぶん持っていないのはTOP50の年間優勝だけ)、まだTOP50で初優勝すらしたことのない私とは修羅場をくぐってきた経験値の差は大きいし、何より彼の釣りの上手さは誰よりも知っているので、彼が最終日に『たった1500g』を釣っていないなんて全く思いもしませんでした。
結果がコールされ優勝が決まった瞬間よりも、その後のこの1シーンは私の記憶にずっと刻まれると思います。
さて、前置きが長くなりました。すいません。ここからが本題です(笑)
今回の弥栄ダム戦。フィールドコンディションはTHE春の終わりって感じだったと思います。
2017年同時期開催時は満水でしたが、今回は大きな減水。
5年前の試合では虫系ルアーを使ったオーバーハングなどの提灯攻めが上位を占めましたが(私もそうでした)、今回は様子が違います。
僅かにスポーニングベッドは残るものもかなり少数で、直前練習2日、3dayのトーナメントと考えると基本増えていくであろうアフターの魚を攻略する必要があるように感じました。
直前練習の2日間をかけて目視とライブスコープを駆使して湖全体をチェックしていきます。
まず練習初日は美和エリアと小瀬川上流。2日目は小瀬川下流と余った時間で小瀬川上流を再度チェック。
色々な情報を得ましたが正直なところ『釣るの自体がそれなりに難しい』というのが感想で、『サイズを選ばなければ(キーパーであれば)簡単に揃う』というコンディションには感じませんでした。
練習2日間共に小瀬川上流をチェックしたことからも分かるように、魚のサイズ&数共に一番良く感じたのが小瀬川上流でした。
これは弥栄ダムのメインウォーターである小瀬川が春から夏に移行していく段階で良いのは当たり前で(一番流量があるから夏に生きる場所)、極めてセオリーズだったと思います。
数だけを見れば昨秋同様、美和エリアも多かったのですが、私はやはりサイズを選びにくく感じて『どうせ簡単に釣れないならサイズを選びたい』とバッサリ切り捨てました。
そんな中、ヒントをくれた魚が居ました。
練習初日にあまりにも簡単には釣れないので、魚探(ライブスコープ)に映る岸から20m以上離れた水深10m以上ある『ド中層』を泳ぐ魚に対して『たぶんバスの可能性低いよな』と思いつつもハドルスイマー3インチの1.8gネイルリグを投げると糸がガイドに絡まってしまいました。
解こうとモタモタしているとロッドがガンガン持っていかれて釣れたのがこの魚でした。場所は3エリアのインターセクション付近。
このポジションをヒントに練習2日目は小瀬川下流&上流をチェックしていくと『それっぽい』魚が映る場所をいくつか発見します。
場所的には明らか小瀬川上流エリアが多く、小瀬川下流エリアはそれに比べると1/5程度の肌感でした。
ただ弥栄ダムでは毎回人気エリア(魚が多いエリア)は後半になるにつれてプレッシャーで急激に難しくなります。
それを加味して、初日のフライト後選手の動きなどを見極めながらエリアを選択しようと決めてプラは終了。
さて初日です。フライトは19番。
まずは小瀬川上流エリアへ向かうものの一箇所目で釣りを開始していると登ってくる人が多い多い。
肌間ですが初日は約半数(25名)が小瀬川上流、15名強が美和エリア、残り10人弱が下流に向かったように思います。
このシリーズは皆んな魚の居場所に辿り着くの当たり前といえば当たり前なんですが、開始一時間で今度は下りながら小瀬川下流エリアを目指します。
途中、直前プラで見つけたシャローを彷徨く魚をダメ元でチェックしにいくと変わらずポジショニングしていて1200gをキャッチ。皆んな素通りしてくれたみたいでラッキー。
そのまま釣り下り、プラで最も魚が映ったエリアの一つである笹ヶ谷大橋付近の水深20mくらいから数カ所立木トップ(竹)が6〜8mくらいのエリアに差し掛かります。
最初はプラ同様、ハドルスイマー3インチのネイルリグを通すものの沈むスピード的に立木回りを彷徨く魚にタイミングを合わせにくく、昨年JB津風呂湖などでも多用した1.8gキャロのカーブスイミング(ルアーは変わらずハドルスイマー3インチ)にチェンジします。
時刻は10時くらいだったと思います。5mくらいを泳ぐ1800gのナイスフィッシュを仕留めるとまさかのプリスポーンに『春夏両方の魚がベイトを探して中層を泳ぎ回っているんだな』ということが分かります。
ただこのエリア制限時間付きなのか11時頃になるとベイトもバスも極端に減って再び流浪の旅に。
※2日目に気付きますがキツい傾斜で生まれるシェード際の深いところをスクールしていて、11時頃になるとそのシェードが水中に無くなる。
小瀬川下流がイマイチなので、再び小瀬川上流に向かい練習でキーパーが釣れていた場所を中心に『ナイスサイズが2匹居るからまず5本揃えよう』とキーパー用のダウンショットを駆使するも、結局午後の3時間全て使ってキャッチできたのは400gの1匹。
悪くはないスタートに感じましたが、初日トップの佐々プロは6キロ超え。彼のスタイルや魚のコンディションを見た感じ『どこかのエリアのあの沖の魚』を複数仕留めてるんだろうな。というのが私の感想でした。
どうせキーパーが簡単に釣れないなら私もそれを狙うしかない。
小瀬川上流は更に手に負えなくなる可能性が高く感じたので魚も少ないけど人気も少ない小瀬川下流エリアを主戦場にすると決めてスタート。
初日同様、所々チェックしながら1時間後の8時には前日キャッチした笹ヶ谷大橋付近へ。
前日より到着時間が早くまだシェードが大きい為か明らかにスクールしている魚が多く魚探に映る。(そこでやっとシェードに沿って動いていると気付く。遅い汗)
前日と同じハドルスイマー3インチの巻きキャロを当ててファーストバイトは途中でバラし(涙)
『まだまだチャンスはある!』と続けるとちょっと遅れて同エリアに山岡プロが到着。対岸で釣られる(汗)
その直後に2キロオーバーが私にヒット!
ただ頑張って木を躱すんだけど2連続のミス(涙)
朝のたった1時間で今の弥栄ダムで3キロを一瞬で失うのは痛すぎる(汗)
手が震えまくて結び直せないし、確か時間はまだ8時くらいだったはずなんですが(冷静になればまだチャンスはあったはず)、上手くいかず。
本当にここらへんから約3時間何をどこでしていたのかほとんど記憶がない。
意味なくシャローを見に行ってみたり、小瀬川上流に向かってみたものの途中で引き返したりしたような気がします。
記憶が明確にあるのは11時過ぎ(記憶喪失から3時間経過笑)
偶然、最下流の赤土バンクを流していると水中ボイルの映像が魚探に映る。
1投で仕留めたのがたぶん1キロジャストくらい。
ここからやっと集中できて『もっかい橋脚下へ!』と狙いに行ってなんとか頑張って1600gを追加。
これでタイムアップの2日目でした。
ミスなくいけば5キロ超えていたのに・・・と肩を落としながら、それでも何とか踏みとどまった。のか?って感じの2日目。
初日よりビッグウェイトがバンバン出て、順位を落として予選は11位通過。
ただ暫定トップの五十嵐プロとは5キロ超の差。
お立ち台ですら3キロ差。これは頑張ってもシングルに入るのがやっとの最終日だなと思いつつ、『自分で試合を壊したな』って思いの強い2日目でした。
迎えた最終日決勝。
自分が最終何位で終えられるかよりも『もう一回2日目をやり直せるなら』という気分で迎えました。
『このままダメだった記憶で終わりたくない』という気持ちで、昨日ミスした魚を取り返したい。順位は気にしない。自分の気持ちが次に向かえるように。
この日も朝8時には山岡さんといつもの笹ヶ谷大橋下に集合(笑)
対岸を流す山岡さん。ど真ん中の中層に私。
一匹目が数投で釣れて(1キロくらい)、そのしばらく後。
昨日ミスして精神崩壊した2匹目と同じくらいのサイズが水深7mの木から浮いてきてバイト。慎重に。
キャッチした瞬間、不思議と叫ぶこともなく近くの山岡さんに『取り返した!』とだけ言ってライヴウェルへ。
※山岡さんはその直後に自分も釣って叫んでた(笑)
そしてしばらく間が空いてキロフィッシュを追加。
この時点で10時過ぎ。目測4キロ。釣り切ったのか魚が全く映らず山岡さんも居なくなる。
ちょうど雨が降り出して、2017年の時にアベンタRSと共にプラで多用したビッグバドを巻きながら会場まで目ぼしいところを流しながら巻いていく。
久々の雨に好転を期待したけどそんな甘くもなく会場付近へ到着。
会場下流にある一番大きなブッシュが気になりなんとなく近付いて『去年の秋はサカマタとボウワーム12だったなぁ』なんて思いながら握ったボウワーム12のワッキーを投げて沈めていると一瞬、ボワっと白く光ってラインが超走る。
キャッチしたのがこの日の最大魚でした。
その後、『ブッシュだ!』とランガンするも魚は追ってくるけど喰わず(汗)帰着となりました。
ここから先は冒頭のシーンになります。
優勝には自分がビッグウェイトを出すことは最低条件で。上位が全員スコアを落とすこと。そしてメガバス時代からお世話になっている小森プロにたった2gで競り勝つこと。
全てが重なって予選11位からのまさかの初優勝となりました。
2日目の昼前の記憶喪失から優勝決定までの24時間の感情のアップダウン(もう精神状態は何が何だかです)はたぶん一生に数回レベルのものでした。
最後になりますが、応援頂きました皆さま。日頃からお世話になっているスポンサーさま。大会の開催に尽力頂きました皆さま。改めて深く感謝致します。ありがとうございました。
『いつになったらトップカテゴリーで勝てるの』と周りも自分自身も思っていました。こんな劇的な形でしたが、改めて自分らしい初優勝だったなと思っています(笑)
書きたいことは山ほどあるのですが、一先ず試合翌日に書けるのはここまでにさせてください。
明日は今大会、万全の装備で挑めたハード面を少しだけご紹介させて頂きます。
メインタックル
○1.8g巻きキャロ用
・エクスプライド268UL-S/シマノ
・ヴァンキッシュ2500S/シマノ
・FCスナイパー4.5lb/サンライン
・ハドルスイマー3インチ/イマカツ
○ロングワームネイルワッキー用
・エクスプライド1610M-S/シマノ
・アルデバラMGL 31HG/シマノ
・シューター12lb/サンライン
・ボウワーム12インチ/エバーグリーン
魚探&エレキ GPSMAP8416XSV、1223XSV、ライブスコーププラス
フォース(フロントエレキ)/ガーミン(G-FISHING)
ハイガー160lb(リアエレキ)/FBI
バッテリー インパルスリチウム24V&36V/インパルスリチウム
オプティマイエロートップ/オプティマバッテリー(GWインターナショナル)