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  1. エクスプライド&ゾディアス

ゾディアス167M-S

先週、私の知人の有名釣りブロガーさんお二人が立て続けにゾディアス167M-Sについて記事を上げられていました。
発売は昨年2020年3月と一年半前なので新製品インプレ記事ではなく、純粋に一年半使い込んでみて頂いての内容でした。

:[D] ゾディアス167M-Sは”異色のソリッドティップ”だった?

やっぱり曖昧なロッドだった?【ZODIAS 167M-S】の追加インプレ。

知り合いだからといってベタ褒めではなく、ここはイマイチだよね。とか、こんな使い方しないとイマイチだよね。といった内容で私もウンウンと思いながら読み耽ってしまいました。

本日はそんなゾディアス167M-Sの開発に携わった身として忖度ないこのロッドの得手、不得手をお伝えしようと思います。宜しければお付き合い下さい。

2020年フルモデルチェンジしたゾディアスの167M-Sという機種。

まず私自身は、前契約メーカー時代にソリッドティップのベイトロッドは2度ほど開発に携わったことがありました。
ただそればLクラスやMLクラスの所謂、ベイトフィネスというジャンルに属するソリッドティップベイトロッドで、今回のゾディアス167M-SのようにMアクションに属するようなものではありませんでした。
なので純粋にあまりデータのない中でプロトを試作してもらったり、テストを行っていました。
実はこの167M-Sは2020年にフルモデルチェンジしたゾディアスシリーズの中で、2021年の今現在でも最も試作本数の多い機種です。つまり難産だったロッドです。
『プロトが多い・時間がかかった』というと釣り業界では=『拘って開発した』というポジティブな意味で形容されることが多いんですが、個人的には多くの(下手したら大多数の)場合において開発が『上手くいかなかった』だけだと思っています(笑)

過去の経験上、良い物(ロッドに限らず)って大概1stプロトから完成度が高いです。
一発目に90点のものが出来ればそこから1、2回の試行錯誤で95点オーバーのものに仕上がります。
一方で最初が30点だとその後、何回試行錯誤しても60点の頃にはクタクタ。70点で『もう良くない?』なんてことが少なくないと思います。
もちろんこのゾディアス167M-Sがそうだったという訳ではないんですが、少なくとも試作本数は2022年までの製品と比べても一番多い機種でした。

当時の画像を引っ張り出してきました。モザイクは諸事情あるのでお許しください。2018年冬頃。

さて良い物をとか、◯◯点って簡単に言いますが、これって全て『何かと比較して』の話です。
本当に新構造だったり、新規軸だったりなら比較対象は存在しませんが、実際にはそんなものって10年に一つ生まれるかどうかです。ベイトフィネスではないソリッドティップベイトロッドは既にテストをしていた2018-2019年には市場に存在していました。
当時、一通り市場にある『ソリッドティップのベイトロッド』を入手して比較として使用していたのが画像にあるフルレンジシリーズ/テイルウォークと、福島プロが当時監修していたFACT/エバーグリーンでした。

どんな数値を計測したり、どんな評価をしたのかはここでは割愛しますが(諸々書けない)、他社には既に存在するのにそれと比較をしたりせずに自社製品内との比較だけで開発・完結したようなロッドではありません。

発売2年前にこの画像をSNSにUPしただけでD社開発者さんから『ソリッドベイトやってんの?』って連絡来たのにはビックリしました(笑)

そう。こんな感じで脱線しまくりで全くゾディアス167M-Sの話にはいかないのですが(笑)、開発時に狙ったターゲットとしては月並みな言い方だけどベイトフィネス以上、通常のMアクション未満でした。
具体的には
5〜6インチクラスの1.8g前後ネコリグ
3.5〜MAX7gまでのヘビーダウンショット
3.5g〜のスモラバ
センコー5や6インチのノーシンカー
こんな感じのところです。
ベイトフィネス?というには重たいし、通常のMアクションで扱うにはちょっとしんどいルアーウェイト。
これまでその類のルアーは(ベイトフィネスではない)MLアクションの守備範囲でした。
ただ特に霞ヶ浦やリバーフィールドの葦周りや、琵琶湖のウィードエリア、リザーバーのレイダウン・立木周りではMLアクションに10lbくらいだと魚のサイズ的にしんどいこともしばしば。
場合によっては14lbで通常のMHアクションくらい強引にいきたい。そこを着地点に開発は進んでいました。

テストでは5インチクラスのワームで3.5gフリーリグとかにもかなり使ってた。

結果的に上記したような使い方が最も適しているし、大きな不具合も無いと思うんですが、唯一にして最大の欠点がこのゾディアス167M-Sには存在します。
二人に書かれるだろうか?と思っていたら書かれなかったんですが(汗)事実なので自分で記載します。

このゾディアス167M-Sはルアー総重量が6gを超えたあたりからピッチングやバックハンドなどの最終ティップが振り上がるキャストでは著しくキャスト精度が落ちます。
オーバーやサイドハンドの様な振り下げるキャストなら一切問題ありません。

理由は低負荷時(フッキングやファイト未満)のソリッドとチューブラーのギャップを大きくしているからで、ソリッド部分の耐えられるウェイトが7gくらいで、そのあたりになるとソリッドが曲がりきってしまうのでキャストよりもワンテンポ遅れてソリッド部が戻るため、2段階のキャストのようになります。
具体的にはピッチングやバックハンドだとルアーがホップしててんぷらキャストになります。
キャスト時から同じベクトルに力が掛かり続けるオーバーやサイドハンドの通常キャストでは起きません。

なので私は霞ヶ浦のシャローカバーやリザーバーのレイダウン撃ちなんかでピッチングメインで使う際にはMAXでも3.5gのスモラバ+小型ホグとか、5インチストレートの1.8gネコあたりになります。
5インチセンコーのフルキャスト・ズル引きは問題ないけどピッチングにはちょっと精度が落ちる。
もっと言えば3インチホグの5gテキサスをピッチングで撃っていくような通常のMアクションで一番やりたい様な釣りには全く向いていないです。
もちろん琵琶湖でキャスティングがメインという場面なら全く問題ないんですが。

その代わり、スモラバをカバー内に撃ってベイトフィネス同等に誘って14lbでしっかり掛けて出せるのはこのギャップのお陰。

まとめとしては通常のMアクションに比べると遥かに潰しが効かないロッドですが(特にキャスト面)、一方で霞ヶ浦やリバーフィールド、タフなリザーバーでは私のデッキに必ず並ぶのもこのゾディアス167M-Sです。
これが5万円だったらはっきり言って私も買うか悩みます(笑)ただゾディアスはグラスを始め、こういった限定条件で無くてはならない番手が意図的にラインナップされているシリーズです。

来年も一部、ピンピンに尖った機種が出るのでそちらもお楽しみに(笑)

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