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  1. タックルの『いろは』

ドラグ力の不条理

GW真っ只中の本日ですが、マニアックな記事を一つお届けします。

私のメインベイトリールたち。

しばしばなんですが、ショーやSNSのコメントなんかで『シマノの両軸リール(ベイトリール)はドラグ力が低くくて使えない』なんてお話を頂くことがあります。
『使えない』まではいかなくても『他社より低い』とご指摘頂くことは少なくありません。
シマノの場合、最も汎用機とされるメタニウムで最大ドラグ力5kg、ベイトフィネス(BFS)機で3.5kgほどが基本です。
ただ確かに他社ではメタニウム相当の汎用機でも6キロ、7キロ、場合によっては9キロなんてものも存在します。
確かにこれを見るとシマノのベイトリールはドラグ力低いですね(汗)
ちなみにダイワさんもほとんど同数値です。

せっかくなので測ってみよう。

せっかくなので測ってみようと、新品のメタニウム(今期右巻きを何台か送って貰ったので新品が久々に来ました。逆にだからこの企画を考えました笑)に、ドラグチェッカー、PE4号を用意しました。
ドラグチェッカーはその名の通り『どれくらいでドラグが出たか』を計測できるものです。
リールを新品としたのは出来る限り経年劣化等で様々なバラつきを無い状態にしたかったから。

まずはスプールにラインをちょっとだけ巻いて計測。

『なんでこんな糸巻き量少ないの?』と思うかもしれませんが、コレが今日の本題です。
スプールにラインを1m弱だけ巻きました。ラインがスプールに10周くらいだけされています。
これで10回ほど最大ドラグ力チェックです。

概ね毎回これくらい。

普通にほぼ毎回6キロを超えてきます。
あれ?メタニウムの最大ドラグ力5kgでは?

次はこの条件で。

パンパンに巻きました。巻き過ぎた気もします(汗)

同じくこの条件で10回ほど試行。
ちなみにスプールに1m弱しか巻いてない時からドラグはいじってません。

概ね毎回これくらい。

毎回5キロ弱(4.8〜4.9キロくらい)でした。
これでカタログ値通りかな。
ちなみにパンパンに巻く場合はかなりギチギチに負荷掛けて巻かないとライン食い込んで正確な数値出ないので注意が必要です。

一瞬で20%くらい最大ドラグ値の違いが出ます。
念の為ですが、同一個体、同一ドラグ位置、同一ラインです。
変えたのは『糸巻き量』だけです。

これ早い話が小学生で習った『テコの原理』です。
作用点から力点までの距離が遠ければ遠いほど小さな力で物を動くと習ったあれなんですが、放出位置のラインがスプール軸に近ければ近いほど(つまり糸巻き量が少ないほど)大きな力が必要で、逆にラインがスプール軸から遠いほど(つまり糸巻き量が多いほど)小さな力でドラグが出ます。

なのでシマノは親切なことに。

シマノ公式HPから。

『最大ドラグ力の定義 測定基準』として『基準ラインを規定量巻き、ドラグが滑り始めた時点のテンション』と記載されています。
つまり『満タンにラインを巻いて何kgでラインが出るかだよ』ということです。
単純に『表記上のドラグ力を上げるだけなら一番不利な状態』での計測値。
当たり前ですよね。ラインが1mしか巻いてない状態のドラグ力なんて知ったとしても『そんな状態では使わないよ笑』って話ですから。

当たり前の話ですが、上記したようにこれって単純なテコの原理なのでメタニウムなんかの汎用機よりも、より深溝で大口径なアンタレスやカルコン200、もっといえばグラップラーやカルコン300、400なんかはもっと差は大きくなります。
25アンタレスもメタニウムと同じ『最大ドラグ力5kg』とかですが、スプールが大きいので同様に測れば6.5kgとか下手したら7kgとか『見かけ上は』出すことができるはず。
これはベイトリールに限らず、スピニングリールでも同じです。

そんなのはどうでも良いんですが、このドラグ力の表記って原則ルールがないので『どの状態で計測しているか』はメーカーによってまちまちです。
計測条件をシマノのように公開しているメーカーさんは多くは(というかほとんど)ありません。
私の場合、各社各アイテム計測したことがありますが、なかなかに強烈です。気になる人はご自身で計測下さい。

オマケを話すと、この構造を理解するとドラグを触らなくても『ラインが出れば出るほどドラグ力は実質強くなる』『遠投時はドラグ力が強い状態で使うことになる』という理屈になります。そして事実そうです。

オフショアキャスティングの様に、メチャクチャデカくて深溝のスプール(SW14000番より上とか)では最大ドラグ力がラインキャパによって時には倍(もしくは半分)になるなんてのはエキスパートの間では当たり前に理解されているし、だからこそファーストランで魚が100mとか200mとか走って止まったとしてもそれは『魚が疲れた』だけでなく『ドラグ力が実質上がった』からというのも加味されてフック強度や、ファイト方法まで調整される方も居ます。

見かけの数値に惑わされず、自身の感覚が物を言うのがやっぱり魚釣りだと思います。

リールにおけるパンドラの箱の一つなのは分かっているので、本記事を書く前に同様のことを書いている人が居るか念の為、確認しましたが居なかったので書き記しました。
今後、似たようなことを書いたり、言ったりする方が増えるかもしれませんが、こんなことは『いろはのい(以前かもしれない)』で理解されてリール開発やテストは行われています。
本当に自分に合うリール探しの一助になりましたら幸いです。

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