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  1. ラインの『いろは』

シマノ高比重PEライン ピットブルG9 PITBULL G9

今シーズンの自身が開発に携わった新製品は既に昨年11月にNEWゾディアス、12月にヴァンキッシュCEを公開させて頂いているので、私の場合はリールやロッドの大物は今回ありません。
ただそれに負けないくらい拘って作り上げた2アイテムがあるので、今回ブログと自身のYouTubeチャンネルでご紹介をさせて頂きます。
今回に限らず、本製品に限らずですが、基本スペック(ラインナップや値段、発売時期など)はシマノ公式HPをご覧ください。
私の個人発信では『企画&開発当事者だからこそ発信できる内容』が中心です。
都合の悪いことも必要であれば記載してあるし、競合他社製品や比較されるであろう他社製品なんかはバンバン名前が出てきます。ご理解ください。

高比重PEに9本編みモデルが追加されます。

ご存じ頂いている方もいらっしゃるかもしれませんが、2021年にシマノから高比重PEピットブルG5が発売されました。ちょうど5年前。
当時の新製品ブログでも書いていますが、私が初めて行ったライン開発のお仕事でした。

開発当時(2019~2020年頃)はバスフィッシングにおいてはPEライン普及期で、まだまだフロロカーボンラインが大半でした。TOP50選手でもパワーフィネス以外にPEラインを巻いているのは数人。なんて頃です。今からは考えられないですよね。
更に『高比重PE』自体がまだ市場に1.2アイテムしか存在していない頃でした。
バスフィッシングではまだPEライン自体が普及しきっていないし、ソルトシーンでも『PE=しなやかなものが高性能』としか認識されていなかったはずです。
その後、バスフィッシングではパワーフィネス以外にも多用されるようになり(今ではフロロよりPEの方が良く使うって方も多いと思います)、ソルトシーンではベイトタックルで使われることも多くなり、単純に『しなやかさ』以外の重要性も広く知られるようになってきたと思います。

2021年発売の高比重PEピットブルG5(5本編み)と同時進行で『9本編みモデル』は開発していたのですが、まだまだ高比重PE自体が浸透していなかった5年前は『まず高比重PEのメリットを体感してもらおう』ということで、当時100mで1000円を切る価格設定で展開できたG5を『普及モデル』として世に送り出した背景があります。

ピットブルG5は高頻度で巻き替えるアングラーには変わらず非常に重宝されています。

それから5年経過して今回発売となるピットブルG9はその名の通り『9本編み』で構成されています。
G5が1本の重たい芯材の周りを4本で編み上げている(合計5本)に対し、G9は高比重な芯材の周りを8本で包むように編み上げられています。
通常PEラインの4本編みと8本編みの違いと同じと思って頂ければ一番分かりやすいと思います。

私の場合はラインナップの中では0.5~1.5号を多用します。

9本編みになったことでより真円に近く、凹凸も少ないため、同号数でも市場に多い4本編みやG5に比べて扱いやすく飛距離の向上が体感できると同時に、4本編みの泣き所だった糸鳴りも軽減されています。
価格設定も他社メーカーの4本編みPEラインと遜色ない2000円ちょいちょい(100m)での投入です。というかそもそもG5の時から価格設定が非常に安いんですよね(汗)
正直、現状市場にある『最高性能の高比重PE』だと思います。

やはり高比重PEはソフトベイトの沈める釣りと非常に相性が良いです。

ピットブルG5やG9に限らず、他社製品含めた『高比重PEには共通の欠点』がありました。
それが『通常比重PEに比べて弱い』という点でした。
既存品のピットブルG5を例にすると、今現在通常PEラインの0.6号は強度的に13lb前後のものが多いのですが、ピットブルG5の0.6号は10.5lbほどしか強度がありません。
つまり『高比重PEは(通常PEに比べ)約20%弱い』というのが事実でした。
というのも上記したように『1本の高比重芯材の周りを4本の繊維で編み上げている為』、この芯材の強度が弱く、どうしても20%程度強度的に低下せざるを得ないのが現状でした。
これはピットブルG5に限らず多くの高比重PEに共通するアキレス腱です。使われている製品のlb数を是非ご確認ください。
もちろんフロロカーボンラインなんかは0.6号は2.5lbしかありません。それに比べれば格段に強い。

ただたまに『高比重PEは良く切れる』なんて声を聴くこともあったんですが、『同号数であれば通常PEより弱いから当然ですよ』というのが正直なところでした。

ハードブルの同号数と比較すると一目瞭然。『太さ(号数)』と『強さ(lb数)』は違うものです。ご注意ください。

この『比重と強度のトレードオフの関係』を少しでも和らげてくれるのが今回のピットブルG9です。
先ほど書いたように、比重を得る代わりに『(通常PEよりも)約20%の強度低下』が慣例だったのですが、今回のG9は9本編みということもありこの強度低下を『10%程度』まで軽減しています。
この『10%の違い』がどこまで重要かは使い方や使う号数によって変わってくると思います。
正直、1.5号以上であればそこまで大きな変化は感じないと思います(そもそもその号数を強度不足で切る魚が少ないから)。
一方で、0.6号以下では個人の使用感では顕著です。

というのも、5年前のピットブルG5の記事でも『0.4号、0.5号も試作しているが、強度不足で合わせ切れが発生しやすくボツにしている』と記載しています。
当時、強度的に出ていたのは0.4号で7lb、0.5号で9lbほどでした。
当時の自身の判断が正しかったかどうかは判断は難しいんですが(今現在だとそれくらいの強度で発売している高比重PEはいくつもある)、今回のG9では0.5号で自分自身が満足いくまで合わせ切れすることなく使い続けました。
ピットブルG9でも0.5号の数値上の強度は11.2lb。大半の高比重PEの0.6号(10lb前後)より『高強度』なはずです。

強度的に劣るはずの高比重PE0.5号でこんな魚と何度もやり取りしてきました。

今回もカラーは『良く見える色』と『水に馴染む(見えにくい)色』の2色です。
良く見える色は(トレーサブル)ピンク。
水に馴染む色はダークモカという今回の為に作ったカラーです。

左がダークモカ、右がトレーサブルピンク。

ダークモカは高級感もあって、非常に水馴染みも良くて超お気に入りです。

私が一番最初にピットブルG5をシマノと一緒に開発した際に『ソルトで一般的なグリーンやピンクだけでなくステルスなカラーを作ってほしい、今後バスやチヌでソフトベイトをPEラインで常用する時代が来たら絶対に必要になるから』と言って『スティールグレー』という非常に水馴染みの良いカラーを特別に作ってもらいました。
その後、このスティールグレーは多くの方に愛用頂いて、極細PEのピットブル4+やハードブルにも採用して貰ってきました。

2021年に作ったスティールグレーも最高の自信作?カラー?です。

当初はピットブルG9でも同色を採用予定だったのですが、個人的にハードブルなんかと使い分けることが非常に多く『同色にするとどのラインか分からなくなる』という弊害がありました。
そこで新規で同じくらいステルス性の高いカラーとして作りこんだのが今回のダークモカです。

現状、最高性能な高比重PEだと胸を張って言えます。

PEラインが細分化された今。釣り人皆が必要なラインではないと思っています。
性能の良い悪い関係なく、高比重PE自体必要ないって方も普通に居るはずです。
ただ高比重PEを使い込んでいる方には何よりも満足頂ける性能に仕上がっているはずです。
是非、お試しいただけましたら幸いです。

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